2014年11月23日日曜日

攻殻機動隊の世界はどうやって実現するのか



「攻殻機動隊」と言えば日本を代表するSF作品です。
作品の中では電脳化、義体化、人工知能、ゴーストハックなど様々な未来的技術が出てきます。
最近、その攻殻機動隊の世界を実現化していこうというプロジェクトが発足されました。
https://www.bandaivisual.co.jp/koukaku-special/realize/index.html
そのオープニングイベントみたいなものが開催されていたので、そこでの話をふまえ「攻殻機動隊の実現」についてまとめてみます。


電脳化
攻殻機動隊ではマイクロチップを使っていますが、実際にはマイクロチップの開発は相当時間がかかりそうです。
脳の動きをデジタル化するというテーマにおいては現在、脳波のセンサリングが最も進んでいますが、脳波は非常にノイズが多いので、複雑で正確なデータを取ることは今のところできていません。
一方で、脳に直接電極をつなぐことができれば、もっといろんなことができるだろうと言われています。その開発が進めばマトリックスにも出てくるような世界が実現できそうです。
ただ、その実験対象となる患者(脳に直接電極を接続する必要がある人)は非常に少なく、開発はあまり進んでいないようです。

ではどうすればいいのか。
現実的なやり方としては、体の挙動を細かくセンシングすることで脳の動きを捉えるということです。
人間は無意識に眼球が動いたり、心拍数が上下したり、貧乏ゆすりをしたりします。
そのような動きをウェアラブルなどでセンシングすることである程度脳の動きを把握することができるのです。
直接脳をハッキングしなくても「意識すること無く意思(無意識も含む)を伝える」ということであればウェアラブルデバイスでもある程度可能なのです。

義体
攻殻機動隊の中では「義体」がよくでてきます。
要はサイボーグですね。
草薙素子は脳と脊髄以外全て義体化しています。
よく考えるとすごいことですよね。
内蔵も筋肉も骨も義体というのはどんな感覚なんでしょうか。
自分が何なのか分からなくなりそうです。
逆に言えば、人間はどこまでも「拡張」、「変態」できるわけです。
常識的な「肉体」から離脱し、違うものに変化できるわけですね。
「自分の体以外のものにコネクトし、ハックする」という意味で、義体化は電脳化とも似ていると言えます。
ロボットの駆動部分を直接自身の体に接続するかしないかの違いですね。

では、どのようにして実現するのでしょうか。
直接肉体に接続する例で言えば、義手・義足のように装着するパターン、ロボットを着るように装着するパターンがあります。
サイバーダインのロボットなどは後者ですね。
一方で脳移植はもちろん、臓器移植などの「移植系」は現状かなり難しいらしいです。

他にも、例えば「他人の目を盗む」にはウェアラブルカメラとoculusがあれば実現はできます。
これを進化させれば、テレイグジスタンスでロボットに乗り移り、あたかも自分の体のように操作することができます。
この場合、人間対ロボットの関係は必ずしも1:1と限りません。
1体のロボットの目や体を複数人が共有して互いに干渉し合うということもあり得ます。
動ける人が動けるときにロボットに入り込んで作業するということも考えられます。

まとめ
人間の神経や脳に直接機械を接続するのはまだまだ先になりそうです。
ただ、ウェアラブル技術を使うことで「脳と肉体をインターネットに自然に接続する」ということはできます。
ウェアラブルと言っても、ヘッドマウントディスプレイやリストバンドタイプのものだけではなく、固さ・つかみ心地・衝撃などのフィードバックを伝えるデバイスも重要になってきます。
いくつかのデバイスがそろうことで自然な接続ができるようになるのです。
その意味で、ウェアラブルにはまだまだ可能性がありそうです。